エンジンの実用化

1958年西ドイツ(当時)のフェリックス・ヴァンケル博士が開発したロータリーエンジンは「夢の新世代エンジン」と呼ばれてもて囃されましたが、実際は実用化が非常に難しいエンジンでした。
開発者の母国のドイツにおいてすら実用化は出来なかったくらいです。
ただ開発当初はその困難さはまだ十分に認識されていなかった為、当時ヴァンケル研究所との共同開発によりロータリーエンジンの特許を持っていた西ドイツのNSU社(エヌ・エス・ウー社)には、世界中の自動車メーカーの首脳が全て参集したと言われています。
もちろんその中には日本の自動車メーカー首脳の姿もありました。
しかし実際に実用化の研究を始めて見るとその実用化の困難さが徐々に認識され、その結果当初実用化研究に取り組んだ自動車メーカーも次々に撤退して行きました。
ロータリーエンジンの実用化で特に難しかったのは三角形をしたローターの三つの頂点のアペックスシールが、ハウジングに傷を付ける問題の解消だったと言われています。
この様に当初の熱気が冷めた自動車メーカーが次々に実用化研究から撤退して行く中で、最後まで諦めなかったのが日本の自動車メーカーのマツダ(当時は東洋工業)でした。
1961年7月マツダはNSU社と技術提携契約を結び、ロータリーエンジンの実用化研究を始めましたがそれは苦難の連続でした。
実際にマツダはロータリーエンジンの実用化の為にその持てる経営資源(人、物、金)の多くを費やしましたので、経営評論家の中には「マツダはロータリーエンジンなどに手を出さなければ、日本のトップメーカーになっていたかも知れない」という人がいるくらいです。
正に社運を賭けたと言っても過言ではないでしょう。
そして遂に1967年世界で初めて実用化・量産化に成功したロータリーエンジンを搭載した「コスモスポーツ」が発表され、世界に大きな衝撃を与えました。
更に1968年7月にはファミリアロータリークーペを発表し、1969年9月にはオーストラリア、タイ向けにロータリーエンジン搭載車の輸出も開始しました。
現在NSU社は既に消滅しましたので、世界でロータリーエンジンを生産しているのはマツダのみになっています。
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